欧州ジェットスキー事情見聞録 2:西ドイツ編 レポート福井 昇

欧州10カ国をめぐる、ジェットスキー市場調査&トレーニングという、カワサキのビッグ・プロジェクトの命を受け、欧州ジェットスキー大視察に旅立った、著者・福井氏。彼とその同僚N氏が繰り広げる欧州道中膝栗毛は、前回のイギリスを後にして、ヨーロッパ1の金持国、西独に向かった。今度はどんな旅になるのやら・・・・。


BMWと“アウトバーン”に迎えられ・・・・・・


 欧州ジェットスキー視察の旅、2つめの訪問国、西ドイツはフランクフルトに降り立ったのは、4月11日のことだった。生まれて初めてのヨーロッパ大陸への第一歩。胸うち震える我々2人を出迎えたのは、ここ、フランクフルトにあるドイツ・カワサキのS氏であった。さすがはドイツ!彼の車はBMW-525iである。おまけに道を往くタクシーまでもベンツ、アウディなどで、料金も安い。
   
   空港を出ると、あのヒットラーが作ったとして知られる道路、“アウトバーン”に入った。網目状に拡がるアウトバーンの幹線道路は、広々した片側3車線+路肩帯で、第1レーンは遅い(?)車用で80〜120km/h。第2レーンは100〜160km/h位、第3レーンはご存知、速度規制なしで、ベンツやポルシェが220km/h位ですっ飛ばすことになるのだ。ムフフフ・・・、乞うご期待。
 ドイツ・カワサキのある小さな町、フリードリッヒドルフのホテルに落ち着いた。ここは小さな田舎町だが、駅前に道が1本走るだけで何もなく、からっぽなのに驚かされる。この閑散とした有様は、フランクフルトのような街でも同じことで、町に店がほとんどなく、子供もいない光景は、奇異に感じられた。









ドイツ・カワサキのある小さな町。レストランが2軒あるだけで、日本人にはさみしい町だ。

 

 


レンタカーのBMWを駆り、ミュンヘン郊外を視察する著者、福井昇氏。(1986年当時)川崎重工時代に培ったメカニック・ノウハウ、欧州大視察の経験を生かし、今年、JS販売店を独立開業した。


ベンツとジャガイモが
大好きなゲルマンは
・・・・・やっぱり移動の民だった!


JSには静かすぎ、美しすぎたキムジー湖


 12日はいよいよ、ドイツのジェットスキーゲレンデを求めて調査開始だ。フランクフルト近郊にや池は殆どないので、ライン川の支流、マイン川へむかう。
   
   マイン川は中州に小さな城が出現したりして、さながら中世のような景色が美しい。この川辺ならどこでもジェットスキーを降ろせるし、乗れそうでもあるが、川全体が航路になっているので、交通の邪魔をしてはいけない。しかし、各地区での規則を守れば、良いゲレンデとなりそうだ。ただ、川はアルプスの雪溶け水で、冷たく流れは速い。しかも今年ドイツ百年来の寒さで、4月中旬とはいえ雪がパラつく。こんな環境でもジェットに乗るわけだから、やっぱり日本はマリンスポーツに適した国だなぁとつくづく思い、あらためて、「日本に生まれて良かった」と喜びを噛みしめた(但し、土地の利用法が下手なのと、マナーが悪いのは感心しない。)
   
   さて、マイン川周辺の調査を終えた我々は、さらに湖を求めて、はるか南のミュンヘンへ飛んだ。ここからレンタカーで郊外へ出て、大小様々な湖を視察した。この辺りを一言で表せば、「静か」!何も聞こえず、人影もない。こんな静かなところでジェットに乗るとしたら、かなり勇気がいりそうだ。
 この日はキムジーという湖の畔りのホテルに落ち着いた。この辺まで来ると、村人達は日本人など見た事ないためか、物珍しげに集まってくる。あまりJetSkiには関係ないが、このキムジー湖の真ん中にある島は、秘やかなる穴場である。我々は、ベルサイユ宮殿を模倣したという美しい建物のそそり立つこの島で、静寂なるヨーロッパの香りに包まれて、しばしゲレンデ調査の疲れを癒した。
    
    帰りに寄ったミュンヘンについては、ビヤホールのドンチャカと、まずくて食えないレバー・ミンチのズッペと、赤ら顔のオッサンのドイツ語攻撃であったように思う・・・。
  

 

 

これがライン川の支流であるマイン川(フランクフルト近郊)。川沿いにはブドウ畑や中世風建物が並ぶ。JSを降ろすのは楽しそうな川であった。


これがホントの“ゲルマン民族”大移動


 こうしてみると、西ドイツの中央部を流れる河川でも、南部に数多い湖でも、Jet Skiに乗る人々の姿を見かけることはなかった。 とすると、ドイツ人はどのようにしてJet Skiをはじめとするマリンスポーツを楽しんでいるのか? それは、我々・働きバチ日本人がヨダレを流してうらやむ、夏の長〜い“バカンス”というヤツなのだ。  
  
   元来、「遊ぶために働く」欧米人は皆そうだが、ドイツ国民全部(と言っても過言ではない)が総出で、南へ南へと太陽を求め、アルプスを越え、南イタリアへ、ギリシャへと繰り出す。文字通り、ゲルマン民族5千万人の民族大移動である。ここで当然、トレーラーは必需・日常品だ。キャンピング・カー、オートバイ、モーターボート、ジェットスキー・・・と、何でも引っ張っていくが、アッと驚いたのは軽飛行機を引いて走る姿であった。さすがは狩猟ボクチク民族。定住型ノーコー民族の日本人とは血が違うのだ。








ミュンヘン郊外にある湖の1つ、キムジー湖は限りなく静か。JSに乗るには気が引ける。









キムジー湖の中の島には、こんな瀟洒な建物がひっそりそびえる(実はレストラン)。日本人は来ない世界である。


天国への滑走路!?アウトバーンを疾走す


 ドイツ最大の思い出は、やはりバイクでひた走ったアウトバーンであろう。ドイツ・カワサキから、当時売り出したばかりの1000RXを借りた私は、残念ながら足が届かず、750ターボに換えてもらい、アウトバーンへ出た。気分はコーフン、感激、コワイの3拍子、第2レーンから入り180km/h。すぐ第3レーンに移って210km/h。それでもベンツやポルシェはすぐ近づいて来て、パッシングし、追い越して行く。
   
   1時間も飛ばした後、ランプを降りて帰ろうとしたが、上りランプが見つからず道に迷いこんだ。村の道は迷路のようで、Uターンのくり返しだ(足が届きにくいのでUターンは大変)。おまけに田舎で英語は通じないし、日は暮れるはで、やっとのことでホテルに辿りついた時にはもうグッタリ。
アウトバーン、ジャガイモ、黒ビール、まずい飯、美しい農村と湖・・・・・。いろいろと楽しかったドイツであるが、ジェットスキーに乗るチャンスがなかったので、ちょっと欲求不満がたまりつつある。次はグッと南下して、美しのギリシャに向かう。さ〜あ、地中海でJet Skiにのれるぞーっ!!

我々:福井氏の旅の道連れは、前回イギリス編のヒースロー空港から登場した、カワサキのN氏である。

アウトバーン:悪名高いヒットラーの帝国時代に完備された、ドイツ国中に網目状に張り迴らされる道路網。全ての道路にNo.が付いている。

子供:町に子供がいないのは、西独では近年子供を作らない傾向にあるため。その替り犬を飼う家が多く町中犬のフンだらけ。フランクフルトの駅前等は特にひどいので、よく下を見て歩こう。また、余計な様だが、犬は金玉を取ってあるのでおとなしく、レストラン、電車もOK。

:ドイツ国内は、私有の湖、池でも、騒音の出る(動力付)ボート等にのると、“グリーンピース”という「緑を守る法人団体」がとんで来て怒られるという。

ミュンヘン:ドイツビールで有名な街だが、この郊外にあたる、西ドイツ南端の地は、オーストリア・アルプスに隣接し、多くの湖が点在する。

ズッペ:ドイツ語でスープのこと。スープは驚く程しょっぱかった。

トレーラー:アウトバーンでは、屋根・テント無しトレーラーは制限時速80km/hなので、皆トレーラーは屋根付きだ。だから日本のように2台積JSトレーラーを引くカッコイイ姿は見られない。

軽飛行機:トレーラーで引く軽飛行機は、“なるほどザ・ワールド”の問題にもなったほど、アチラでは当り前の光景である。

迷路:城塞都市として発達したドイツの町は、外敵の侵入を防ぐため、道を迷路のように複雑に作った。


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